タイ人社員とのコミュニケーションでよくある6つの誤解と対策

まとめ:タイ人社員とのコミュニケーションで起きる問題の多くは、語学力ではなく「伝え方の習慣の違い」から生まれます。「分かりました」の意味、問題の報告のしかた、注意のしかたなど、よくある6つの誤解と、明日から使える対策をご紹介します。

スタット・ムアンモンプラサートです。日本で工学を学び、タイの日系工場で10年以上、通訳、改善(Kaizen)、経営企画を担当してきました。日本人の駐在員とタイ人社員の両方の立場を近くで見てきた経験から、現場でよく起きる誤解をまとめました。

なお、ここに書く内容は傾向であり、すべてのタイ人に当てはまるわけではありません。一人ひとりを見ることがいちばん大切です。

誤解1:「分かりました」=「理解しました」とは限らない

タイ語の「ได้ครับ/ได้ค่ะ(ダイ・クラップ/ダイ・カー)」は、「できます」「分かりました」と訳されます。しかし実際には「聞きました」「とりあえず受け取りました」という意味で使われることも多いです。上司の指示に「分かりません」と返すのは失礼だと感じる人もいます。

対策:「分かりましたか?」ではなく、「最初に何をしますか?」「いつまでにできますか?」と具体的に聞いてください。本人の言葉で説明してもらうと、理解度がすぐに分かります。

誤解2:問題がないのではなく、報告しにくいだけ

タイには「グレンジャイ(เกรงใจ)」という言葉があります。相手に迷惑をかけたくない、気をつかう、という気持ちです。そのため、上司が忙しそうなときや、問題を自分で解決できると思ったときは、報告が遅れることがあります。

対策:「問題があったら言ってください」だけでは足りません。朝礼や週1回の面談で「今週いちばん困ったことは何ですか?」と毎回聞く仕組みを作ると、報告が増えます。悪い報告をしてくれた人には、まずお礼を言うことも大切です。

誤解3:人前で注意すると、逆効果になる

タイでは「面子(หน้า)」を大切にします。ほかの社員の前で強く注意されると、内容よりも「恥をかいた」という気持ちが残り、モチベーションや信頼関係に影響します。最悪の場合、退職につながることもあります。

対策:注意や改善の話は、個別の場所で、落ち着いた声で伝えます。逆に、よい仕事はみんなの前でほめると効果的です。

誤解4:「なるべく早く」「いい感じに」は伝わりにくい

日本語の「なるべく早く」「適当に」「様子を見て」などは、通訳しても意味があいまいなままです。タイ人社員は、指示を自分なりに解釈して進めるため、期待と違う結果になることがあります。

対策:期限は日付と時間で、品質は数字や見本で伝えます。「金曜日の15時までに」「この写真と同じ状態に」のように具体的にすると、通訳もしやすく、ミスが減ります。

誤解5:通訳を通すと、話が短くなる

日本語で3分話したのに、通訳が30秒で終わった、という経験はありませんか。通訳者が要点だけを伝えている場合もありますが、長い話を一度に聞くと、通訳者も細かい部分を落としてしまいます。

対策:1回に話すのは2〜3文までにして、通訳の時間を取ってください。会議の前に資料と専門用語を通訳者に渡しておくと、正確さが大きく上がります。社内用語や略語は、とくに事前の共有が必要です。

誤解6:説明より「見せる」ほうが伝わる

口頭や長い文章の説明より、写真、図、実物を使った説明のほうが、タイ人社員には伝わりやすい傾向があります。これは日本の工場の「見える化」と同じ考え方です。

対策:作業標準は写真入りのタイ語版を作り、現場に掲示します。LINEで写真付きの報告を受けるルールにすると、報告のハードルも下がります。

明日から使える5つのポイント

  1. 確認は「分かりましたか?」ではなく、本人に説明してもらう
  2. 悪い報告をしてくれた人に、まずお礼を言う
  3. 注意は個別に、ほめるのはみんなの前で
  4. 期限は日時で、品質は数字か見本で伝える
  5. 通訳を使うときは、短く区切って、資料は事前に渡す

よくある質問

タイ人社員に日本語を覚えてもらうべきですか?

基本的な挨拶や工場の用語(5S、ホウレンソウなど)を共有するのは効果的です。ただし、重要な指示や安全に関わる内容は、タイ語で正確に伝えることをおすすめします。

社内に通訳がいない場合はどうすればいいですか?

毎日の通訳が必要でなければ、会議や研修のときだけ外部の通訳者に依頼する方法があります。オンライン会議の通訳なら、移動費もかかりません。

タイ人社員向けの資料を翻訳したいのですが?

作業標準書、研修資料、社内規程などの日本語⇔タイ語翻訳に対応しています。工学の知識がある翻訳者が担当するため、専門用語も正確に訳します。

通訳・翻訳、タイ人社員とのコミュニケーションのご相談

会議や研修の通訳、資料の翻訳が必要な場合は、タイ語通訳・翻訳サービスをご覧ください。日本人管理者とタイ人社員のコミュニケーション改善についてのご相談も承ります。LINE(@CDQ1591S)からお気軽にご連絡ください。日本語で対応します。


筆者について
スタット・ムアンモンプラサート。タイ政府奨学金で東海大学工学部(精密工学)を卒業。JLPT N1。シラパコーン大学MBA。タイの日系工場で10年以上、通訳、改善(Kaizen)、経営企画、小売事業を担当。現在は日本語・タイ語の通訳・翻訳とビジネス支援を行っています。プロフィールを見る

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